| 相 続 ・ 遺 言 |
|
遺産分割と税金
例えば、死亡した母の遺産を3人の子供が相続することになりました。遺産は、居住している土地と建物ですが、3人で分割したり、売却して代金を分けるようなことをしないで、その土地と家屋を相続人の1人が相続し、他の相続人には代わりに遺産を受けた人固有の財産である土地、株式、現金などを分ける特殊な分割方法を代償分割といいます。この場合、相続税だけでなく、譲渡所得税も絡んできます。
1:相続税
相続税は、5,000万円+(1,000万円×相続人数)が控除されます。上記の例では、5,000万円+(1,000万円×3人)=8,000万円が控除されます。この控除額を超えた場合に相続税は課税されます。
遺産分割には、遺産の現物をそのまま分ける「現物分割」と共同相続人の中のある者に遺産の現物を取得させると同時に、上記のように、その相続分を超える部分を他の共同相続人に対して負担する「代償分割」の方法があります。分割方法により相続税の総額が変わることはありません。
2:譲渡所得税
代償分割が行われた場合に、遺産の現物を取得した相続人から他の相続人に対して譲渡所得の発生原因となった不動産や株式などを移転したときは、その移転をした者は、それらの資産を時価で譲渡したことになります。注意すべきは、譲渡ですから相続税評価ではなく時価評価だという点です。また、相続分を超える部分を金銭で負担すると譲渡所得税の問題は発生しません。 |
| UP↑ |
| 遺 言 |
|
専門学校で宅建の講義をしていると、眠そうにしている学生も目をパッチリ開けるのが「相続」の時間です。例え自分は貰うものがないとしても気になるのでしょう。そこで、縁起でもないとかそんな財産はないとか言われそうですが遺言を取り上げました。読み方は「ゆいごん」「いごん」いずれでも間違いありません。
欧米では非常に発達していますが、日本では法定相続にしたほうが残されたもの同士が争うことがないと想っているのか、遺言している人は、10%程度だといわれています。いざ相続が発生すると相続人は法律が定めた分け前の方法である「法定相続分」か、被相続人の「遺言」によるかいずれになります。民法は、遺言について以下のように3種類定めています。 |
|
|
|
|
内 容 |
|
|
|
|
|
自筆証書遺言 |
|
|
|
○ |
|
自分で総ての内容を書いて最後に日付、氏名を書き押印します。内容を誰にも知られず書くことができますが、自分で保管するので紛失・汚損の心配があります。 |
|
|
|
|
|
公正証書遺言 |
|
|
|
○ |
|
公証人の面前で証人2人以上の立会いのもとで公証人が本人から遺言の内容を筆記して作成するので法律的に確実です。 |
|
| ○ |
|
公証人と証人に内容が知れれてしまうことと費用がかかります。 |
|
|
|
|
|
秘密証書遺言 |
|
|
|
○ |
|
書いた遺言書を密封して公証人と証人2人以上の立会いのもとに自分の遺言書だという確認をうけ、確認後自分で保管します。 |
|
| ○ |
|
遺言の内容の秘密性は保持されますが遺言の存在は知られます。 |
|
|
|
|
|
|
| 自筆証書遺言の記載例とアドバイスです。 |
|
|
|
|
遺 言 書 |
| 1. |
妻 ○○ ○○○
あなたと人生の大半を過ごせたことは私にとって幸せでした。本当にありがとう。子供や孫のことをよろしくお願いします。妻○○○には現在住んでいる○○県○○市△△町○△番地の宅地○×平方メートルとそこに存在する建物を相続させます。 |
| 2. |
子供 △△ △△
あなたが小学校のとき、算数で100点をとったと自慢していたあの時のあなたの嬉しそうな顔が今でも忘れられません。勉強が好きで、明るく、いつもやさしいあなたに○△銀行△○支店の定期預金1,000万円を相続させます。 |
| 3. |
遺言執行者に△△ ××○を指定します。
昨年○月△日に書いた遺言はこれを取り消し、ここに新たに遺言いたします。 |
|
平成○○年○月○日 |
|
○○ △△ (印) |
| 書き方のアドバイス |
| 1: |
ボールペンや万年筆を用いて、必ず自分で書いて作成します。ワープロを使用したり鉛筆で書いたり他人に代筆してもらうと無効になります。 |
| 2: |
遺言作成の日を必ず記入します。内容の相互矛盾する遺言が別に発見されると最新のものが優先します。 |
| 3: |
最後に署名(サイン)押印しますが、署名は戸籍上の氏名とし、押印は実印でなくても認印や拇印でもいいことになっています。 |
| 4: |
どんなに仲の良い夫婦でも同一遺言書に連名してはいけません。 |
| 5: |
財産目録を別紙で添付する場合も自筆で作成します。 |
| 6: |
遺言は何度書いても書き直してもかまいません。毎年自分の誕生日や結婚記念日に書きなおしたり、毎回満月の日に夜空を見上げながら書いても楽しいと想います。 |
| 7: |
遺言執行者の指定は任意ですが、遺言書通りに手続きをすすめるには指定した方が良いでしょう。 |
| 8: |
遺言が無効だと争っているケースも多いですから中途半端はいけません。 |
|
遺言というと我が家には財産がないから関係ないよ!と必ずいう人がいますが、そうではありません。遺言があると民法は、天に召された人の意思を尊重してくれますので、遺産を配分するときには優先され相続争いを避けることができます。
遺言する場合の注意点は、上記のように法律で定めた様式がありますからそれを遵守することです。例えば、自筆証書遺言では署名押印しなければなりません。では、拇印を押したら無効かというと無効ではありません。最高裁の判例では無効ではないとしているからです。
しかし、民法は署名押印しろと明確にいっている訳ですからもめ事を避けるためにも押印したほうが懸命だといえます。いずれにしても遺言書による争いも少なくありませんから、相続人間で争わないようなものをつくっておきましょう! |
| UP↑ |
| 遺留分… とは? |
|
遊び人の金さんには6,000万円の財産がありました。ところがある日、遊びの最中にポックリ逝ってしまいました。金さんには妻Aと子供B、Cの2人がいました。ところが遊び人の金さんはQさんという女性に4,000万円を贈与していました。残った財産は2,000万円となりました。妻Aと子供B、Cはそれぞれいくら相続するでしょうか?
遺留分とは、相続人の最低限の分け前をいいます。民法では、配偶者と子供は1/2と決められています。相続人が直系尊属(親)のみのときは1/3であり兄弟姉妹には遺留分はありません。では、実際に計算してみましょう!(下記は配偶者と子供が相続人の場合です。) |
 |
 |
| * |
法定相続の場合、上記のとおり妻Aは3,000万円、子供B、Cはそれぞれ1,500万円づつ相続することになります。 |
| * |
Qに4,000万円贈与した場合は、残り2,000万円を妻Aは1,000万円、子供B、Cはそれぞれ500万円に分けますが、遺留分が法定相続分の各2分の1ありますからAは1,500万円、B、Cはそれぞれ750万円になります。差額分はQに請求できることになります。これを遺留分減殺請求といいます。 |
|
妻Aの減殺請求は、
子供B、Cの減殺請求はそれぞれ、 |
1,500万円 − 1,000万円 = 500万円
750万円 − 500万円 = 250万円 |
|
|
| * |
遺留分減殺請求は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年以内に行わないと時効により消滅します。 |
| * |
減殺請求するかしないかは各人の任意です。故人の意思を尊重して「親父の決めたことだから」といってQに一切請求しないことも考えられます。「そんな馬鹿な!」といいたいのであればきちんと請求すべきでしょう! さあ、あなたはどうしますか? |
| * |
ちなみに、遺留分は、配偶者(1/2)、子供(1/2)、親(1/3)にはありますが、兄弟姉妹が相続人の場合には遺留分はありません。
→ 兄弟姉妹は、子供、親がいないときに相続人になります。 |
| * |
遺留分は、相続と違って相続開始前といえども家庭裁判所の許可を得て放棄できます。その場合でも相続の放棄をしない限り相続権はあります。上記の妻Aの例でいえば、遺留分は1,500万円ですがその遺留分を放棄しても相続の放棄をしない限り1,000万円は相続できます。 |
|
| UP↑ |